10月10日から、「新世代アーティスト展 星美加」が始まりました!!
「新世代アーティスト展」は、国内外で活躍の幅を広げている新進気鋭の若手アーティスト3人を連続してご紹介する展示です。
この第2弾は、画家の星美加さんの作品を展示します。
星さんの作品には、どこか寂しげで懐かしい、映画のワンシーンのような雰囲気が漂っています。
なんとなくヨーロッパを思わせる風景は、星さんの記憶や夢の中、映画や本で見た風景などが混じった、現実には存在しない風景なのだそうです!
はじめて見る風景をどこかで見たことがあるように思うことはありませんか?
星さんも、見たことのなかったイタリアの風景を懐かしいと感じたことがあるそうです。
実際に、星さんは何回かイタリアに研修に行かれていて、そのとき出会った風景をもとに描かれた作品もあります。
これは大学院の修了制作で、お友達からもらったトスカーナ地方の田園風景の写真ハガキを見て感動し、実際に現地でスケッチして描かれた作品とのことです!
夢で見た風景や、現実にはないけれど懐かしい感じのする風景を絵にするなんて、すごくステキですね!!私も絵が得意だったらやってみたいです・・・
星さんは、こうした記憶の中の風景にリアリティを持たせるため、3DCGという方法を用いています。たとえば、カーテンが風になびく様子や、鏡に映る部屋の中、開きかけたドアから見える向こう側の風景などを、このソフトを使ってパソコン上で作り出し、それをもとに作品を制作されているそうです。
絵の中の世界が、まるで目の前に存在するかのように見えるのは、こうした緻密な工夫がされているからなんですね!!
また、星さんの作品には、「死は身近にある」というメッセージや、諸行無常・侘びさびの感性も込められています。絵の中に登場するカラスや幽霊のような足は、死をあらわし、古びて朽ち果てたものや、一瞬で消える波紋や風などは、はかなさを表現しているそうです。
死といっても、「恐怖としての死」ではなく、誰にでも平等に訪れて繰り返されていく「穏やかな死」のイメージとのことです。
確かに、星さんの絵の中のカラスや頭蓋骨、横たわる人の横に脱ぎ捨てられたかのようなシャツなどを見ると、死を連想して一瞬ドキッとしますが、作品の雰囲気はどれも穏やかで、あっという間にその静かな世界に引き込まれます。
絵の中の人物はこの後どうなるんだろう?とか、このドアの向こうには何があるんだろう?など、いろいろな物語を想像できるのも、星さんの作品の醍醐味ですね!!
ところで、星さんの作品は、「アクリル」や「油彩」といったおなじみの絵の具のほかに、「テンペラグラッサ」という聞きなれないものも使われています。これは、卵黄と油、顔料を混ぜた絵の具で、長い年月が経っても劣化が少なく、鮮明な色を保てるのだとか!!
ルネサンス期のイタリアで活躍した巨匠、サンドロ・ボッティチェリもこの技法を用いていて、星さんはフィレンツェでの研修でこれを学んだそうです。
今回、星さんによる、ボッティチェリの作品「柘榴の聖母」の模写も展示させていただきました。とっても色鮮やかで美しい作品です!!