特別企画展〝彫刻家 武井直也の軌跡〟

10月17日から、特別企画展「彫刻家 武井直也の軌跡」を開催しています!!
岡谷市出身の武井直也(1893-1940)は、大正から昭和にかけて、フランスにわたり彫刻を学び、日本美術院展(院展)や文部省美術展覧会(文展)を中心に活躍した彫刻家です。
フランスの近代彫刻といえば、「考える人」を作ったロダンが有名ですが、武井が学んだのは、ロダンの弟子、ブールデルです。
帰国後もブロンズ彫刻や大理石彫刻といったさまざまな表現に挑戦したり、彫刻の基本に立ち返ることを目指して日本彫刻家協会を立ち上げるなど、生涯パワフルに活動しました!

活動拠点は主に東京に置きましたが、たびたび帰郷して、故郷の人たちを集めて彫刻講習会も開いていたのだそうです!

展示作品は、男性や女性の裸体彫刻や、頭だけの彫刻、地元の人をモデルにした胸像など、さまざまです。
とても写実的で、一つ一つ見ていると、「こういう人が実際にいたんだなあ」としみじみ思います。

ところで、以前にも当館で武井直也の作品展を何度か開催していますが、同じ彫刻を学校や公園などでも見た、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ブロンズ彫刻は、石膏で作った原型をもとにして鋳型を作り、溶けた銅を流し込んで作ります。そのため、一つの原型からいくつもブロンズ彫刻を作ることができるのです(といっても、何回も作っているとだんだん形が変わってしまうので、数個しか作れません)。
当館には、遺族の方から寄贈していただいた石膏原型がたくさんあるので、それをもとにブロンズ像が複数作られ、市内のいろいろな所に設置されました。
ブロンズ彫刻には、いろいろな色の塗料が塗られていて、渋みのあるいい色合いが出ています!造形の美しさとともに、そんな色の違いも楽しんでいただけると思います。

もうひとつ圧巻なのが、大理石彫刻です!!
自然の石の持つやわらかい白さや、ツヤがなんとも美しいです✦

武井直也 黎明

「黎明」 1938年 大理石 第2回文部省美術展覧会出品

ですが、この作品は約230kgと、ものすごく重いんです!!
その重さを感じさせず、上品でやわらかな質感を出すのは、武井直也のすごさですね!

ぜひこの機会に、武井の作品の迫力を、間近で感じていただけたらと思います!!

関連イベントとして、11月3日(火)13:30から、本展のゲスト・キュレーターとしてご協力いただいた日本近代彫刻の専門家である井上由理氏の作品解説が行われます。
またこの日は、当館のリニューアル開館2周年記念として、無料開館いたします!
ぜひおこしください!!

それからもう一つ、11月21日(土)10:00から、地域交流イベント「岡谷市役所前の野外彫刻クリーニングをしてみましょう」を行います!
これは、風雨にされされる野外彫刻の汚れを落とし、ワックスを塗って表面の塗装を保護する作業です。
作品が見違えるようにきれいになる様子を実感していただけますので、ぜひふるってご参加ください!!
また、今年の8月2日にも、岡谷湖畔公園の作品のクリーニングを行いました。
クリーニング後の作品は、ツヤを取り戻し、野外美術館のように美しい仕上がりとなっていますので、こちらもぜひご覧ください✦✦