増沢荘一郎が育てた岡谷の版画と子どもたち ギャラリートーク

現在、当館1階交流ひろばにて開催されている、「増沢荘一郎が育てた岡谷の版画と子どもたち展」のギャラリートークを本日開催しました。

本展では、昭和30年代の児童版画作品を展示しています。ギャラリートークにご参加くださった方の中に、当時、増沢荘一郎先生に直接教えを受けた方がおられ、大変貴重なお話をお聞きすることができました。版画全盛期だったころの小学校時代、増沢先生の版画指導のお話、昭和30年代ごろの岡谷のまち並みや、スケートのメッカと言われていた頃の諏訪湖のお話など...。

皆さんどのようなお気持ちで作品をご覧になったでしょうか...

皆さんどのようなお気持ちで作品をご覧になったでしょうか...

 

また、今回の展示作品の中に、ドライポイント技法の作品を2点展示させていただいています。木版画が主流だった時代、ドライポイント技法が使われている作品は当時では珍しく、新しい試みだったそうです。ドライポイントというと、銅板を版として、先端にダイヤモンドが付いた針や、鋼鉄の針で直接引っ掻いて描く技法が一般的ですが、当時のお話を伺うと、その頃は銅版などが簡単に手に入らない時代、銅版の代わりに、セルロイド製の下敷きを版にして、ニードルなどの工具の代わりに、割りばしにレコード針を糸で巻きつけたものを自作して彫っていたそうです。

田中小学校当時4学年 五味利恵子さんの作品 「お友だち(ドライポイント)」

田中小学校当時4学年
五味利恵子さんの作品
「お友だち(ドライポイント)」

今回、当時のお話を直接伺うことで、増沢荘一郎という版画家が、いかに版画教育に情熱を注ぎ、岡谷の美術教育に貢献したかということが改めて再認識され、その人物像が鮮やかに浮かび上がりました。

こうして、岡谷が生んだ版画家、増沢荘一郎の思いは、消えることなく、教え子から次の世代へと脈々と受け継がれていくのですね。

 

会期は5月18日(日)までとなっております。こちらの展示は無料でご覧いただけます。ぜひ、皆さまお誘い合わせのうえお越しください。

思い出がたくさん詰まった版画作品

思い出がたくさん詰まった版画作品